本質から少しズレてやしないか。
「実はね、ココやられて辞めたんですよ・・」
まだメディアでそれほど話題にはなりませんが、近年企業で働くビジネスパーソンがメンタル不全で休む、または退職する割合が増えているように思います。
企業も公にしたくない現実なので、統計数字等に表れにくいのでしょう。
ですからあくまで筆者の体感に過ぎませんが。
仕事柄、コソッと告知されることが多々あります。
同時にマインドフルネスという言葉が人事の世界で広まっています。
あなたもどこかで聞いたことありませんか?
「あれでしょ、グーグルとかシリコンバレーの先端企業が取り入れているヤツ。」
そう。フェイスブックやインテル、マッキンゼーをはじめとした大手企業、政府系機関の研修でも取り上げられ、なんなら小学校でもやっているという近年大きな注目を集めているのがマインドフルネス。
念のため。
マインドフルネスとは?
「”今、ここ”にただ集中している心のあり方」のこと。
AIだロボットだとデジタルが日々進化している反面、人間はココロを未だうまく扱えないということがようやくわかり始めた、そんな時代なのかもしれません。
今やこういった、ストレスマネジメントやストレスコントロール手法、メンタルトレーニング等の人間のココロにフォーカスした方法論や解決策も様々登場し、いわばビジネス化しています。
それだけ私たちの生活環境が悪化してきている、というわけです。
しかし、食べていくことの難易度が特に高まってきているわけではないように思います。
「食べていくこと」という生存への基本的な課題ではなく(むしろ単に食べていくのはラクになってきたはず)、食べていくのは大丈夫。だけど自分が生きがいのある生活を見つけだすことができていない。その2つの落差の大きさに本当の問題があるような気がしています。
つまり、自分らしい生き方を見つけることの難しさです。
だからストレスが増えている。心身が不健康になる。
そういったストレスを軽減するために、マインドフルネスを代表とした様々な概念、手法が流布しているように感じます。
併せてセミナーや書籍が花盛り、というわけです。
よって今や心の持ち方、瞑想、呼吸法、筋力トレーニング等、ビジネスパーソン向けのノウハウを簡単に手にしやすい環境になっています。
たしかに、心身に良いことばかりです。1つ1つのノウハウはたしかに試すに値するものが多いと感じています。
そもそも筆者はこういうのは好きな分野なのでつい書籍を手にとって参考にしたりします。実際、習慣として毎日呼吸法やいくつかのメンタルコントロール法も取り入れています。
手でありのまま紙に書いていくジャーナリングというメソッドも有効です。
良い方法はたくさんある。けれども・・・なのです。
どこか筆者が違和感を覚えるのは、これらのノウハウが結局は自身の対処療法として消費されていることなのかもしれません。
大切なことは、そもそも過度のストレスの原因が一体何なのか、を見つめること。
そしてその原因にアプローチし取り除くことをしなければ本当の解決にはなっていないのだ、ということもまた真実なのです。
つまり、生き方のデザインが最初に必要なのでは、ということです。
自分が人間として幸せに生きる道、生活とはなんだろう?
ここをしっかり考えてみる。
時間をかけても向き合う価値はあります。
なぜなら、今の時代、生き方の選択肢はかつてないほど増えているからです。
「そもそもあなたは何がしたいのか?」
これがいい年こいた大人であろうが中心課題であり、そこをいつまでも目をつぶったままではどんな瞑想を試してみたところで、結局ストレスの悪循環は続きます。
まるでもぐら叩きのようです。
一見手触り感のよさそうな解決策が、実は本質からズレていやしないだろうかということ。これに似た問題は他にも身の回りにありそうですよ。
”ど真ん中の本質ってなんだろうか?”
ここに目を向けられるシンプルな勇気を、筆者も含め大人は持ちたいものです。