本郷猛。
読めますか?このタイトル。
久しぶりに心が動く映画に出会いました。
その映画とは、、、
「仮面ライダー1号」(照笑)
恒例の息子の娯楽。毎度ヒーロー物の映画を見に連れて行くと、私は始まりと共に寝入るのが定番なのですが、今回だけは違いました。大人でも見応えがあったのです。
(東映さん、今回はいつもの”春のパン祭り、いや春のお祭り映画”じゃないのですかっ!?)
まず、藤岡弘演じる本郷猛(ほんごうたけし)が破格な貫禄で、一緒に出ていた現在の仮面ライダーゴーストはまるでお子ちゃま。重量感というか、格が違いすぎるのです。
また、この本郷猛が名言を連発するわけです。ひと言ひと言がまっすぐで重い。
「『生命(いのち)』とはなにか?答えてみろ。」そうくるわけです。もはや役のセリフなのか、藤岡弘のアドリブなのか、わからないほど本気の言葉。
正直好きです、そういう直球な言葉が。
問われたゴーストは戸惑い言葉に詰まるわけですが、見ている私も言葉に詰まっていましたよ。
「宿題だ。考えておけ」という本郷猛に、思わず「は、はいっ!」と映画館にいたお父さんたちは心の中で叫んでいたのでは?
他にも、
「そもそも何のためにお前は戦っているのだ?」(私は「戦い」を「仕事」に置き換えてみました!)
「それは自分のためか?」(いいえ、お客様の満足のためです!)
もうね、いちいち伝説のヒーローからのストレートな言葉が突き刺さるのです。途中、柿の種を食べてた私の手も止まってましたもん。
もちろん、映画的には突っ込みどころは満載、所々おいおいと言いたくなる場面だってあります。しかしそんな瑣末な点をここで批評することにおじさんの私は関心がありません。それはたくさんの方がレビューしているでしょうからそちらに譲ります。
45年ぶりに帰ってきた本郷猛。戦いすぎて体はボロボロ、かつてたくさんいた仲間はみんな去り、それでも孤独に生き抜いて自分の使命を全うしようとする彼の生き様を想像することに意味がある映画だと思うのです。その生涯からにじみ出た問い、「生命とは何か?」なのです。
さて、映画の最後にこの問いに仮面ライダーゴーストがある答えを出します。それに対して「いい答えだ!」と笑顔で受け止める本郷猛、いやもう70歳を向かえた藤岡弘そのままでした。敵の大将にまで「体を労われよ」とライダー史上初めてであろう禁句に許可をしてしまう弘。
もう誰も弘に突っ込めなかったのかもしれません。
でも、たぶん藤岡弘さんの人生って、良くも悪くも仮面ライダー1号と共にあったんだよなぁ〜と思うのです。どこ行っても、何をしても、いつも仮面ライダー1号。演じるも何もなくただ自分の人生を通じて蓄積された言葉が自然に出てくる。自分のプレゼンスの上で語る。だから、見ている人にじんわりと純粋に伝わってきたのだろうと思います。自分から離れていないのです。
結論。「主演:藤岡弘」ではなく、「作品:藤岡弘」の方がしっくりくる。
これは私たちの仕事、人生に置き換えて学べる視点なのかもしれません。
最後エンディングで、画面に4行ほどのメッセージがデカデカ出てきます。
「仮面ライダーはいつも君のそばにいる」的な。
「弘もいつも君のそばにいる」。さすがにそれはなかったのですがメッセージとして伝わってくるものがありました。
私はそこでなんだかわからないけど込み上げてくるものがありまして、涙腺が緩んでしまいました。
そしてバックに流れるエンディング曲を歌っていたのが野口五郎と誰かのデュエットで、やはり今回はお父さん向けの仕立てなんだな、と妙に納得して映画館を後にしたのでした。
実は息子も大変満足げでした。
ほんごうたけしは、えいえんのひーろーだよなぁ、ぱぱ。
帰りに息子と2人で、新地にある串揚げだるまにて。
今日も笑顔を忘れずに。