KOMA NOTE

”軽やかにシンプルに生きていく”考え方や実践をフリーランスの人材育成クリエイターがつづります。

お金の正体。

僕には独立してから続けている1つの習慣がある。それは、毎月月末の夕食時、子供たちのいる前で、お金の入った封筒を妻に手渡すというささやかな儀式。そして夕食を頂きながら、すこ〜しだけお金のはなしを子供たちとする。

・お金ってどんなもの?

・どうやってお金をもらうのか?

・お金はどうやって使うのか?

・いったい我が家にお金はいくらあるのか?(今は言わないけど)

そんなことを。

 

なぜ、いまどき手渡しという昭和的で、面倒くさいことを始めたのか。パパありがとう!と言われ、自尊心を満たしたいというのもあるが、それ以上に「ある原体験」に理由がある。

それは僕が独立したての8月の暑い月末。ある仕事をご祝儀的に頂き、報酬として5万円を頂いた。記念として今までロクにしたこともない預金通帳への記帳をしようと、自転車で駅前の銀行に向かった。月末のATMは長蛇の列。しばし並んでようやくATMの前で記帳を始めた瞬間に事件は起こる。

 

僕は記帳される音を聞きながら、涙ぐんでしまったのだ。その音はわずか”ジッ”という一瞬だった。そりゃそうだ。たった1件だけだから。月末のATMで引き出した5万円を握りしめ、通帳を見つめながら涙する38歳のおっさん(当時)。

 

ある仕事を頼まれ、一生懸命期待に応え、ありがとう、という感謝のカタチとしてお金を頂く。純粋にうれしかったのだ。こんな当たり前で大切なことを、僕は分かったつもりでいた。しかしどこかに忘れていたのだ。ジッという音の中に、自分の手で稼げた実感やお客様の役に立てた嬉しさや感謝の気持ちが詰まっていた。

 

上場企業でそこそこのお給料を頂いていた時には僕になかった「お金」の見え方。月末になると当たり前のように振り込まれ、引き出して使う。もっと給料増えないかなと思ったり、今月末はピンチ!もっと上司の評価を得るには・・などとありふれた日常にあった「お金」のほんとうの正体に気づけた瞬間だった。

 

今はありがたいことに記帳の音は当時より長くなった。そしてジジジッという音は今でも僕をきほんに立ち返らせてくれる。だから毎月必ず記帳している。そして、僕の原体験を子供たちとシェアし続けたいと思っている。

 

会社の売り上げが伸びない、営業成績が伸びない、給料が安いといった不満や悩み。もし僕だったらこんなシンプルなアドバイスをしてみたい。

「一度お給料をすべて引き出して、自分の手に持ってジーッと見つめてみよう。」そして自分の頭で考えてみよう、このお金たちの正体というものを。そこにしごとの大切なきほん、結果を変えるための行動のヒントが透けて見えてくるはずだから。

 

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今月もお疲れ様でした。今日は月末、我が家ではお金の話しをすこしだけする日です。あなたの話題ももしかしたら出るかもしれません。感謝しています。