手が教えてくれる瞬間がある。
あるクライアント先でこの半年間、
「日々気づいたことを紙にメモする」
という習慣づくりのプロジェクトを全社員で行っていました。
半年間で5000を越える気づきが出ました。
月に1度、みんなで集まってそのメモを共有する。
普段話すこともないメンバーが、今どんなことに気づいているのか。
メモを見ながら自然とコミュニケーションが始まるのです。
仕事のこと、プライベートのこと、世の中のこと・・・
たった1枚のメモが、社員同士の間合いを変える。
たった1枚のメモで、なぜか深く考えたくなる。
たった1枚のメモで、笑い合える、のです。
極めてシンプルな取り組みですが、様々な効果に自分たちで勝手に気づいてしまうという面白い試みでした。
この会社はマンション管理を主とした
いわゆるストックビジネスを展開しています。
地域密着で羨ましいほどの美しいビジネスモデルです。しかし、競合によるリプレイス、顧客の期待レベルの向上など決して安泰ではない。
常に自分たちを柔軟に高めていかねばならない、そんな社長の危機感から始まったプロジェクトでした。
今、あらゆる産業がサービス業化しています。
僕の持論ですが、サービス業のほんとうの優位性とは、関わる社員ひとりひとりの「気づく力」に左右されます。
気づきとは視点。視点の数をどれだけ個人やチームで増やせるか。
人によっては半年間で物事の見方や捉え方がガラッと変わった方も出てきました。今までになく自分とたくさん対話した方もいました。バカの壁の存在に気がついた人もいます。先入観で嫌っていた同僚の見方が変わった人など、、
たくさんの変化を聞きました。
5000個の気づきの中には、日々の業務改善だけではなく、新規事業につながりそうなアイデアまであります。
肩書きではない職場の本当のリーダーの存在まで丸わかり。
ただフッと気づいたことを紙にメモ書きするだけ。
これ、すごくないですか?
手書き、というのがポイント。
手書きは頭と体と心を同時に使います。
パソコンに打ち込むではダメなのです。
ある一人の方が最後におっしゃったのが印象的でした。
「最初のうちは手書きするのは正直、面倒くさかった。なんでこんなことさせるのか、と。
でも続けているうちに、手が教えてくれる瞬間があったんです。」
書きながら、そうだそうだ!とみるみる行動したくなったんです。」
気づきは、メモしないとすぐに消えます。そして、書くと人は動きたくなるものです。手=思考(脳)なのかもとつくづく思います。
今やこの会社は、
「何かないか!と気づきを掴みに行く集団」に変貌してきました。
今年から5000個の気づきのタネをもとに、実際に改革に乗り出します。
この話、もしも関心があれば実例であなたの会社にも紹介しますね。