KOMA NOTE

”軽やかにシンプルに生きていく”考え方や実践をフリーランスの人材育成クリエイターがつづります。

日本語で話そう。

パラダイムシフト』。

あなたはこの言葉の意味を説明できますか?どれだけの大人が意味を理解できているのだろうか・・・。

 

週末、テレビでやっていた党首討論をみた。ある一人の党首の発言に違和感をもった。

僕は疲れていた。昼間娘の運動会で、親参加の競技ではりきり過ぎ、日没とともに身体が悲鳴をあげはじめ、頭の回転が鈍いことは確かだった。それが影響しているかどうかは分からないが、その某党首が何を言っているのかわかるようで、わからない。

この違和感の正体・・・それは、頻繁に出てくるカタカナ用語だ。

 

僕がかつてコンサル会社にいた時は、カタカナ用語を常用している人は結構いたし、外資系の企業ではないのに、職場では飛び交っていた。

「アグリー、アグリー(賛成)」(なぜか2回いう。意味はないのだが)

エビデンス(証拠)」(主観で発言する相手に対して投げかける)

シナジー(相乗効果)」(部署間の溝があればあるほど会議で頻度高く出る)

「ペンド(保留)」(ちょっと残念な表情で言う、ホンネはやりたくない)

「コミット(がんばってやり遂げましょう)」(管理職が大好きな言葉♩)

 

などなど。いっぱいあった。(思い出すだけで苦笑する)

 

知性的な感じがして憧れを抱いた時期もある。僕も社風に乗り、イキって口にしていた。しかし、ある時期から僕は「反・カタカナ用語派」になった。

もう10年以上も前の話だが、当時の上司が放ったミーティング後の発言。

「このホワイトボード、テイキングノートしておいて」

瞬間、僕は冷めた。カタカナ用語への印象は、知性から爆笑に変化した。まさに、シフトした(笑)。

「ノートとれよ」でいいじゃないか。

もう「ぷっ」である。「ルーかあなたは」である。

 

単なる自己満足でしかなく、相手目線で考えると、恥ずかしい言葉の使い方なのだ。以来、僕は仕事において「むやみに」カタカナ用語は使わない。最近ではお客様から「ダイバーシティが・・」とか出てくる。「どんな街ですか?」と突っ込んだりはしないが、どこまで相手は意味を理解しているのだろうと慎重に意味をすり合わせするようにしている。プロジェクトが上手く進まない、コミュニケーションがかみ合わないといった迷走の元凶は、僕の経験上、カタカナ用語にある。「よく聞くけど、誰もほんとうの定義を知らない」用語があなたの身の回りで乱発されだしたら要注意だ。僕の管理職向けのセミナーでは毎度恒例だが「小学6年生が分かるか?」が基準。ひらがなで言い表せる程の再定義をしておくと仕事は進む。

”わかったつもり”で僕たちは多くの言葉を使っている。まさに”つもり''症候群。ここに無自覚だと、いつまでも相手に伝わらない。伝わらない理由にすら気づけないイタいヒトになる。

 

試しに、この1週間、禁カタカナ用語で過ごしてみよう。意外と苦しいかもしれない。しかし鈍っていた日本語への感度を目覚めさせるよいきっかけにはなるはず。

自分が操れる言葉をもつ、そのために日本語への感度を日頃から鍛えよう。それは多様なメンバーを活かしたり、束ねる力につながる。

リーダーシップはつまるところ言葉力なのだから。

 

にしても、今メディアで話題の某党首。ふと思うのだが、誰か周りに言ってあげる人はいないのだろうか。そのカタカナ用語を少し抑えませんか、と。

見てて「リアルに」イタいのです。