今、足りないのは物語なのだ。
「The Story」と私がネーミングしている企業向け講座がある。
人を育てられる人を創るための講座。
先日、ある顧客先の22名の管理職の皆様にさせて頂いた。
その上司が人を育てられる人なのかどうかは、部下の成長を”物語らせたら”大抵わかる。
物語とは、「むかしむかしあるところに・・」
のそれだ。
今人を育てる際に、足りないのは知識やスキルよりも、
人が成長していくハッピーな未来への物語なのだ。
それはなぜか?
今は世界の政治経済しかり、先行き不透明(と言われる)。
成熟社会の日本においても、画一的な豊かさにつながる未来ストーリーは既にない。
人それぞれ。
誰にとっても先がモヤっと見えない時代なのだ。
正確にいえば、主体的に見ようとしに行かないと、見えてこない時代。
営業やマーケティングの世界では、
もはや定番の「モノではなく、コトを」。
言い換えると、物語を消費する社会であり時代。
いかに信じたい物語を見せられるかが企業の趨勢を左右する。
一人一人働く人間の心も同じ。
この仕事をしてどうなるのか、成長が見通せない不安の中で、
「先はこうなるよ、こういう壁がやってくるけどね、ここをしっかり押さえれば必ず乗り越えられる、その先にはこんな景色が待ってるよ」
そんなことを物語ってくれる上司がいたとしたら。
物語は人の心を動かし、記憶にへばりつき、アイデアを引き出す。
「人が育たない」という経営者からの相談への私の答えはいつも決まっている。
それはズバリ、
「その人が育つ物語(ストーリー)を1枚の紙に描きましょう」。
管理職の頭の中に、どれだけの信じたい物語があるか、つくれるかなのだ。
これまで現状の人材育成の打ち手のほとんどは、点が中心。
OJTとOFFJTの連関性が見えない、
やらされ感の単発研修・・
課題は声高に叫べどもこれといった打ち手なしの数年間・・・
しまいには、中間管理職の意識が低いと責められる…
最高に楽しい物語を描こう。
今すぐに、だ。
物語は点ではなく流れ。
部下の育成を、映画のような
「ヒーローズ・ジャーニーストーリー」にしてしまうのだ。
物語には大きく2つの特徴がある。
1つは、「主人公」がいること。
人材育成を語る時に、「若手」のままではざっくりすぎる。
固有名詞が基本だ。
2つ目は、3幕構成であること。
①始め:ある人のどんな現状が?=オープニング
②中:どのようにして?=ハプニング
③終わり:どうなった?=エンディング
ある部下を育成したいと思う管理職は、
まずその部下の成長ストーリーを描けなければ始まらない。
描いて初めて、自分は何が見えていて、見えていないのかがはっきりしてくる。
大企業のように、潤沢な研修予算や人的リソースがない分、
中小企業の人材育成にはかなり工夫が必要となる時代。
しかもシンプルで即行動でき、継続できること。
もしもたった一枚の紙に描いたあなたの物語から、
部下が動き、
記憶にへばりつき、
次々とアイデアが引き出されていくとしたら。
よくないですか?(笑)。
最高に楽しい物語を描きましょう。
もし見せてくれたらアドバイスしますので。