欲張らない。
こんにちは、駒込浩明です。
あるプレゼンを聞いた。とても流暢でロジカルな話し方をしようとする好感の持てる方だったが、実はどうしても拭えない違和感があった。
情報が多いのである。「結局、なに?」と聞いてしまった。
「あれもこれも、あ〜ぜんぶ言いたい!」とついつい盛りだくさんに欲張る人がいる。ぜんぶ言っておかないと不安だったり、言ってしまって後は相手任せ〜なんて人もいる。
・・・そうだ、かつての僕だ。
企画書しかり、メールしかり、多くのコミュニケーションの場面において。
ラーメンでいう”全部のせ”状態。
しかしハッキリ言うと、それは伝え手のわがままであり、押し付けに他ならない。
立場を変えると分かる。
僕は年に2回、パソナさんで「働く女性のためのライティング講座」をしている。
受講者にどんな悩みをお持ちですか、と聞くと一番多く出てくるのが、
この「あれもこれも症候群」。
よく料理に例える。品数がたくさんあって一見充実しているように見えるものほど、それは要注意。
「あ〜いっぱい食べたけど、何食べたっけ?アレ出てこない・・・」としか受け手は感じていないもの。
欲張らない。
本当に言いたいこと、本当に伝えたいことはなんだろうか?
相手に一番味わって欲しい1品(1メッセージ)は何だろうか。
この内面への問いかけを毎日練習しよう。
そして、いつもシンプルにシンプルに手渡してみられてはどうか。
例えば、こんな方法がある。
1、A4の紙一枚に、あるテーマについて心の中に浮かぶ言葉(単語でもいい)を自由にのびのびと書き出す。ここは存分にアレもコレも欲張っていい。(※書き出しやすくなるコツは講座で教えている)
2、もうない、という段階まで出し尽くしたら、ボーッとその紙を「眺める」。
この眺めるという行為が実は大事。(全体を俯瞰する、ということ)
3、これはどうでもいいなとか、これは大事、と選別しやすくなるので、色ペンを持って印をつけていく。(捨てていく)
4、最後3つ程度まで「絞る」。自分の一番言いたいことはこの時点でスッキリしている。同時に気持ちもスッキリしている。
(1〜4、時間はかけても5分まで)
とても簡単な方法で、誰でもどこでも紙とペンがあればできる。これだけで1講座をすることもあるくらいで、このシンプルさが大好評をいただいている。「あれもこれも症候群」から抜け出すには良い方法で、毎日かんたんにできるから。
「欲張らない」という基本は、あらゆる仕事だけでなく、人生においても通じるキーワードではないだろうか。時代を見れば、アレもコレも、まだまだもっともっという「足し算的発想」がずっと続いてきた。それが豊かさへの道であり、大人になるということだった。
僕のことでいえば、20代〜30代というのは仕事においては、知識をたくさん身につけ、理論武装し、常に情報をアップデートする。常に強迫観念であり危機感。それによって成長できた側面は確かにある。しかし行き着いたのは、どこか本心を忘れた知識メタボ人間だった。
ある社長に言われた一言が抜け出すきっかけになった。
「誰かの言ってるような情報なんかいらない。今時ググりゃわかるよ。駒込さんは本当のところどう思ってるの?」
ガツーンと頭を殴られた気がした。私は自分の言葉を見失っていた。
そこから私の基本とは、大人になるにつれて足してきた価値観や考え、常識というものにさらに足していくのではなく「引く」。引くというより削ぎ落とすイメージが近いかもしれない。
何事もあれもこれもではなく、引くことで「ひとつの本心」に近づく。
”たったひとつ”。このシンプルさがこれからの基本になっていく。
明日の私は、某県庁に出向いてプレゼンをしてきます。
シンプルに”たったひとつ”の1メッセージが伝わる、そんな場にするつもりです。
さて、今日のあなたの1メッセージとはなんでしょうか?
今日も笑顔を忘れずに。